フィクションの話で済まされない水戦争の危機

フィクションの話で済まされない水戦争の危機


戦争を知っている世代の方々も、戦争は映画や授業などでしか見聞きしたことがないという世代の方々も、水の取り合いで戦争が起きると聞いても、あまりピンとこないかもしれません。
というのも、日本では、水道の蛇口をひねれば自然と水が出る上、その水はそのまま飲んでも何の支障もない安全な飲み水となっているためです。

実は、今世界では水不足が深刻化しており、あまり実感できないにせよ、日本もその危機に直面しているのです。
ここでは、映画のようなフィクションの話では済まされない、水戦争の危機について考えていきたいと思います。

水戦争とは

水戦争とは、文字通り水に関しての戦争のことです。
水不足が深刻化している今、そしてこれからは、決してフィクションの世界ではない水戦争を経験することになるかもしれません。

国同士が水を求めて戦争をするということが何となく理解できない方も多いと思います。
河川は一つの国の中だけでなく、国をまたいで流れています。水不足が深刻化すると、どちらの国の水なのかという点で揉め事が起きてしまいます。
すでに、リオ・グランデ川やインダス川では、水を巡っての紛争が起きています。さらに、これから紛争の勃発が予想される地域は、ナイル川、チグリス・ユーフラテス川、ガンジス川などが挙げられます。

水の紛争、その歴史は古い

実は、世界規模で水不足が深刻化している今よりももっと前から、水をめぐる紛争は多くありました。
水は人間が生きていく上で命に関わる大切なものなので、トラブルも絶えなかったのです。ただ、戦争として国と国が水を奪い合うということはありませんでした。

今の水不足は、戦争に発展する危険性もあると言われるほどに深刻になっています。水が生死に直結する資源であるからこそ、戦争にまで発展する危険性があるのです。
1995年に、世界銀行の元副総裁であるイスマイル・セラゲルディン氏によって、「20世紀は石油を巡っての戦争・紛争が起きていたが、21世紀は水紛争が起きるだろう」と予測されています。
*世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)
戦争や紛争は幾度となく繰り返されていますが、水を巡っての世界規模の戦争が起きる可能性も否めないのです。

日本が巻き込まれる可能性も!?

日本は島国であり、ナイル川のような大きな川が流れているわけでもありません。
そのため、世界規模での水を巡っての戦争が起きても、日本が巻き込まれることはないだろうと思っている方も多いのではないでしょうか。

ですが、もし世界規模で水をめぐる戦争が始まったとしたら、日本も関わっていくことになると予想できます。
たとえ直接的な関わりがなくても、何らかの形で影響を受けてしまいます。例えば、日本が最大輸入国となっている仮想水についても、他の国から輸入することができなくなれば、その分の水は日本で作り出す必要があります。
このように、近い将来水不足による水紛争が勃発した場合には、直接的に戦争に関係するかどうかということよりも、仮想水を輸入できなくなることで日本の水不足が急速に進んでいくことが考えられます。

おわりに

水から世界的戦争に発展し、そのまま地球自体が壊れてしまうようなことがあっては大変です。限り有る資源だからこそ、生死に関わる資源だからこそ、世界中で協力して守っていくことが大切になります。
戦争や紛争で少ない水が失われることがないように、そのようなことが起きる前からニュースなどをチェックし、水不足についての知識をつけておくことをおすすめします。