”水ストレス”という言葉をご存知の方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。
日本では蛇口をひねれば勝手に水が供給され、どれだけ田舎の土地であっても安心して利用できる水は必ず存在しています。そのため、水について深く考える機会も少なく、世界が水不足に陥っていることについては、全く興味がないという方も多いかもしれません。
ですが、今の日本を水ストレスという尺度で見ると、水の需給が逼迫していることをご存じですか?
ここでは、水ストレスと水需給について、その現状を見ていきたいと思います。
水ストレスとは
まずは、水ストレスとはどのような尺度なのか、ご説明しておきたいと思います。
水ストレスとは、人口一人あたりが利用可能な水資源の量を指している尺度で、一人あたりの年間使用可能水量が1,700m3を下回ると水ストレス下にあるとされます。
この水ストレス、一体世界のどのくらいの国が直面しているのかと言いますと、なんと世界37カ国が直面している問題なのです。
さらに、ただ単に水ストレス下にあるということではなく、極めて高い水ストレス状態にあるということになっています。
*参考:世界資源研究所(World Resources Institute)
水ストレスの基準になる値は、1年で再利用できる水を含め、年間水量の割合に基づいています。
世界の水ストレスの地図を作成した世界資源研究所によれば、日本は40~80%の高い水ストレス下にあるとされています。
日本が水ストレス下にある?!
日本が水ストレス下にあると言われても、水需給が逼迫しているとは感じられないのではないでしょうか。
実際に、水が足りないと感じることや、水を買いに走るなんてことはありませんよね。
ですが、データとして見ると、日本は水受給が逼迫している状態だというのです。
日本の水が豊かに感じられる理由
日本は水が豊かな国だと思っている方も多いと思います。蛇口をひねれば水が当然のように出てきますし、遠くの川まで水汲みに行くなんてことも経験したことがありません。
日本では、仮想水というものを大量に輸入しています。この仮想水というのは、とある食糧を輸入する場合、自国で生産する上で必要になる水の量を推定するものです。
お肉を生産する場合には、家畜の食糧生産から手入れ、農場の維持などに膨大な量の水が必要になりますが、このお肉自体を輸入してしまえば、必要になるはずだった水は使わずに済みます。これが仮想水で、日本はこの仮想水の輸入が世界最大とも言われているのです。
このような部分で水を使用しなくてもいい分、生活や飲水に利用できる水資源が豊富にあるように感じられるだけで、世界の人口増加とともに水受給は確実に逼迫しているのです。
世界の水ストレス
水ストレスにさらされる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人口増加
- 気候変動
- 水に関する紛争
このようなことから水資源の問題は大きくなり、そこから水ストレスにさらされていきます。
2050年には、深刻な水ストレス下におかれてしまう人口は、約39億人(世界の人口の40%)にも及ぶ可能性があると言われています。
*参考:国土交通省
水資源が少しずつ枯渇し、それと同時に少しずつ世界の水資源の受給が逼迫している状況にあることに対して、私達日本人も意識を高めていく必要があります。
特に、人口密度が高い東アジア、アメリカをはじめ、水自体の供給が少ない中東アジアやアフリカ等、このような国々が水ストレスにされされています。
おわりに
日本は水不足や水ストレスの影響を感じにくい国ではありますが、確実に水不足の問題は深刻化しています。
島国のため、紛争などにもあまり馴染みがありませんが、今後もしかすると水紛争に関係していくことがあるのかもしれません。
そのようなことを防ぐためにも、できる限りの節約を始め、世界の水不足と向き合っていくことが大切になるのではないでしょうか。