水道インフラが整っていなければ感染症に晒される

水道インフラが整っていなければ感染症に晒される


皆さんは、水道から出てくる水を見て「この水は安全かどうか」「飲んだら感染症にかかるかもしれない」などと考えたことがありますか?
恐らくほとんどの方がそんなことを一切考えずに、水道水を口にしたり、料理に使用したりされていることと思います。

この水道水、日本では普通に飲むことができ、感染症などの心配もありませんが、これは水道インフラが整っているからこそのものであり、世界には水道インフラが整っていない国もたくさんあるのです。

不衛生な水のせいで毎日4,900人の命が失われている

日本では水道水が不衛生という考え方はなく、安心・安全に飲むことができる水だと認識している方が多いと思います。むしろ、水道水で感染症を引き起こすという考えすら、微塵も浮かばないのではないでしょうか。
これは日本の水道インフラが整っていることで感染症の危険がなくなっているということであり、水道インフラが整っていない国々では、感染症を引き起こして亡くなることも珍しくないのです。

世界には、汚染された水源を使用している人々が開発途上国に多く、なんと12億人もの人々が安全ではない水(不衛生な水)を使用しています。
そしてさらに、24億人は下水道等の衛生施設を継続して利用できていないというデータがあります。
水道インフラが整っていない不衛生な水を利用していることで、年間約180万人(1日に4,900人)ものこども達が亡くなっているという事実もあります。
*参考資料:世界保健機関、国連児童基金「Global Water Supply and Sanitation Assessment 2000 Report」

どんな感染症があるの?

開発途上国では、ドブの水をもすくって使っている人々も居ます。水道水は黄色く、私達日本人はまず手をつけないであろう水ですが、そこに住んでいる人々からすれば、その水しかないためそれに依存するしかないのです。
このような土地での感染症として、以下のようなものがあります。

  • コレラ(排泄物が感染源となり、飲料水や食品などから感染します)
  • 細菌性赤痢(排泄物が感染源となり、飲料水や日用品から感染します)
  • 腸チフス(排泄物が感染源となり、飲料水やハエなどから感染します)
  • サルモネラ腸炎(排泄物が感染源となり、食品から感染します)
  • 大腸菌下痢症(泄物が感染源となり、飲料水や食品などから感染します)
  • 赤痢アメーバ症(泄物が感染源となり、飲料水や性行為などから感染します)
  • 住血吸虫症(淡水の貝類から遊出した虫が感染源となり、水浴びや飲水から感染します)

挙げればまだまだあるのですが、主にこのような水系感染症があります。
トイレ等の水道インフラが整っていないことによって、排泄物が感染源になってしまい、飲み水やハエから感染するというパターンが多くあります。
水道水があっても不衛生な水しかでない国の場合、これら感染症で亡くなる方がいることは不思議ではありません。

屋外排泄は減少している

トイレなどの水道インフラが整っていないとは言え、屋外排泄を行っている国や地域は以前に比べて減少しています。
それでもまだ9億人以上が屋外で排泄を行っているというデータがあり、感染症の危険性は消えることがありません。
世界全体を見てみると、改善され水道インフラが整えられている設備を利用できる人は、都市部で82%にのぼりますが、農村部ではまだ51%程度にとどまっており、不衛生な水に依存して生活する人々は多くいます。
*参考:国連児童基金

おわりに

日本では当たり前のように綺麗なトイレを使用していますし、排泄物から感染して下痢性の疾患になり命を落とすということはあまり身近ではありません。それどころか、水が不足しているわけでもなく無駄遣いをし、綺麗な水を浴びるように使用しています。
ですが、少し世界に目を向けると、このような生活を強いられている人々がたくさんいることが分かります。
世界で水不足が問題となっている今、私達は世界の人々と水に向き合い、真剣に考えていく必要があるのではないでしょうか。