世界で深刻化する水不足問題!改めて水資源を考える

世界で深刻化する水不足問題!改めて水資源を考える


地球を宇宙から眺めた映像を見たことがある方は多いと思います。その地球は、綺麗な青色で神秘的だと感じませんでしたか?これは大気によるものでもあり、水によるものでもあります。
地球の表面の3分の2は水であり、体積は約14億km3(立方キロメートル)にもなります。このような数字で見ると、想像できないほどにたくさんの水があり、人々が生活していくために何も問題がないように感じられるかもしれません。

ですが、この水は、全て安全に使用できるわけではなく、人間が使用できる水自体は全体の0.01%しかありません。

人間が使える水と、その割合

地球が”水の惑星”と呼ばれていることをご存知ですか?
たくさんの水で覆われているためそのように言われているのですが、実際に飲水として人間が使える水は、全体の0.01%です。

では、地球にある水がどのような水なのか、見ていきましょう。

  • 海水・・・97.5%
  • 淡水・・・2.5%
  • 氷河等・・・1.76%
  • 地下水・・・0.76%
  • 河川・湖沼等・・・0.01%

*参考資料:国土交通省「平成15年版 日本の水資源」

こうしてみてみると、水はたくさんあるように見えても、人間が使える水というのはとても少ないことが分かります。海水を飲水にすることは難しく、淡水と言っても氷河や地下水ばかりなのです。
14億km3ある水を全て人間の生活に使用できるというわけではなく、その中のたった0.01%しか使用できないという事実は、多くの方が意識せずに生活していると思います。
水資源は、現在では希少資源と呼ばれるまでになっており、今後の生活への影響が懸念されています。

水の汚染と枯渇の恐怖

地球上のたった0.01%の水しか使用できないにも関わらず、この水が汚染されたり枯渇した際にはどうなってしまうのでしょうか。
当然ながら、汚染した水を飲んで生活している生物達は死んでしまい、水が枯渇すれば絶滅してしまうことも考えられます。

世界には、汚染された水源を使用している人々も多く、開発途上国では病気の原因になることも珍しくありません。
12億人もの人々が、安全ではない水を使用しており、24億人が下水道等の衛生施設を利用できていないというデータがあります。
さらには、不衛生な水を利用していることで、年間約180万人(1日に4,900人)ものこども達が亡くなっているのです。
*参考資料:世界保健機関、国連児童基金「Global Water Supply and Sanitation Assessment 2000 Report」

キッチンがあって、水道があって、すぐにきれいな水を使用することができる日本では、水不足や水質汚染と言われてもピンとこない方も多いと思います。
ですが、世界に目を向けてみるとこんなにも悲惨な状況になっている上、これが2025年にはさらに悪化し、48カ国28億人の人々が水不足に直面するという予測まであるのです。
*世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)

他人事ではない!日本での水不足

世界で汚染や枯渇による水不足が深刻化している中、「日本は大丈夫」と思っている方も多いと思います。ですが、実は日本も水資源が枯渇しつつある国なのです。
「水ストレス」という言葉をご存知ですか?これは、人口一人あたりの利用可能な水資源の量を指している尺度になります。
日本は、水資源の供給量に対して需要が多いため、東アジアやアフリカ同様、水ストレスが高い国に含まれています。ですが、日本はミネラルウォーターを輸入することによって水不足を賄っているため、まだ危機感をおぼえるような状態にはなっていません。

水不足で紛争に

それぞれの国に水資源を確保する河川があるわけではなく、これらは国家間を流れているため、水不足が深刻になるにつれて紛争も起きやすくなります。
水資源が豊かにあるように感じられる日本人からすれば、「水に関連した戦争なんて、嘘でしょ!?」と思われる方も多いかもしれませんが、2000年の1月から4月にかけて起きていたコチャバンバ水紛争では、死傷者まで出ています。

当然ながら、人口が増加するにつれ必要になる水資源は増えていきます。
インドとパキスタンでも河川をめぐる紛争が起きていて、今後はインドとネパールを流れるガンジス川での紛争なども予想されています。
1995年には、世界銀行の元副総裁であるイスマイル・セラゲルディン氏が、「20世紀は石油を巡っての戦争や紛争、そして21世紀は水紛争の世紀になるだろう」と、予測していました。
*世界保健機関(WHO)・国連児童基金(UNICEF)

おわりに

結局、主に先進国に住む人間が、自分達の豊かな生活を支え発展させていくために使いすぎてしまったことによって、水不足となっているといえます。
そこに人口増加も加わることで、食糧を増産するために必要になる水や、商工業に必要になる水など、今までより需要と消費が増えています。
入浴時にシャワーを流しっぱなしにしたり、トイレで排泄音を消すために二度流ししたりする行為は、世界の水不足を加速させてしまう行為にも繋がります。ここで今一度、世界の水不足問題と向き合い、水資源について一人ひとりが考える必要があるのではないでしょうか。