水不足の救世主?海水淡水化の現在とこれから

水不足の救世主?海水淡水化の現在とこれから


世界各国で水不足が深刻化しており、今後の水不足を解決させるために対策が求められています。
人口増加による水不足も懸念される中、世界の人口は2025年に約81億人なり、2050年には約96億人、そして2100年には100億人に達する予想がたてられています。
*参考:国連「世界人口展望」(2012年改訂版)

このままでは仮想水を大量輸入している日本も、水不足の危機に直面することになります。
そこで世界的に注目されているのが、海水淡水化です。ここでは、水不足の救世主になるかもしれないと囁かれているこの技術について、見ていきたいと思います。

地球にはもう水がないの?!

水不足と聞くと、水の惑星とも呼ばれている地球から、水がなくなってしまっているような印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、水がなくなっているというわけではありません。たくさんある地球上の水のうち、人間が飲み水や商工業に使用できる水が少ないにも関わらず、汚染や人口増加、枯渇によって不足してきているということなのです。

では、具体的にどの程度の水を使用できるのでしょうか。
地球上の水の98%は海水であり、残り2%が淡水です。人間が飲み水等に使用できるのは淡水ですが、この淡水は氷山や地下水などがほとんどであり、実際に使用できる水は、なんと0.01%しかないのです。この0.01%を地球上の70億人で使用しているわけですから、水不足に陥ることも納得できます。
水がないというわけではなく、少ない淡水の中でも使える水が0.01%しかないということなのです。

近い将来は世界人口の3分の2が水不足の環境下に

2025年、世界の人口は81億人に到達すると言われていますが、この2025年には、なんと世界の3分の2が水不足に陥るという予想があります。
そして2030年には、世界の人口の47%が厳しい水不足の国・地域に暮らすことになり、50億人を超える人々が公共下水設備がない環境で生活している可能性もあるとされているのです。
*参考:UNESCO,2009

今すでに、水不足によって不衛生な水に依存するしかない人々がおられる中、さらにそのような人々が増えることはなんとか防がなくてはなりません。
世界中の様々な機関で取り組みが行われていますが、まだまだ完全に改善されてはいません。

海水淡水化とは

そこで注目されているのが、海水淡水化の技術です。
海水を処理することで淡水を作り出すという技術・設備のことを指し、不純物を分離することができるものです。
地球上の水の98%を占める海水を淡水化し、それを利用することができれば、水不足の解消に期待ができます。

実はこの海水淡水化の技術、世界をリードしているのは日本の企業だということをご存知ですか?
日東工業、東洋紡、東レの3社が、この海水淡水化の技術で有名になっており、この3社で共通している方式としてRO膜というものがあります。
この海水淡水化プラントは、世界で8,000箇所に設置されていると言われており、今後の水不足の影響を受けてさらに大規模な市場に発展すると言われています。

RO膜とは

RO膜とは、海水に圧力をかけることで海水の塩分を濃縮して捨て、淡水を漉し出すための濾過膜(逆浸透膜)の一種です。
エネルギー効率に優れ、この技術は飲料水にとどまらず、浄水処理や下水処理にも活用されています。

おわりに

この海水淡水化の技術は、現在もこれからも注目され続けるものであり、水不足の救世主となりうる存在です。
海水を淡水化して使用できるようになっても、節水を怠って無駄遣いをしてもいいというわけではありません。まだまだ全世界に広まっているわけではありませんが、この先の水不足に大きく変化をもたらしてくれる存在であることには間違いありません。