世界に安全な飲み水がどの程度あるのか、想像してみたことや考えてみたことはありますか?
おそらく多くの方が、水資源についてふと何か考えたり、テレビで報道されていることに対して真剣に取り組みを始めたりしたことはないのではないでしょうか。
”飲み水=安全”という概念が当たり前になっている日本では、安全な飲み水という言葉自体が理解できないかもしれませんが、世界に目を向けると、”飲み水=安全”という概念が通用しないことも多いのです。
ここでは、世界に「安全な飲み水」がどのくらいあるのかということについて、見ていきたいと思います。
国連ミレニアム宣言
2000年9月に開催された国際ミレニアム・サミットにて、国連ミレニアム宣言というものが採択されていたことをご存知でしょうか?
これは、人権や平和、貧困、開発などに関しての8つの課題を掲げたもので、達成期限が2015年に定められていたものです。
この国連ミレニアム宣言の中には、「安全な飲み水や基本的な衛生施設を継続的に利用できない人々の割合を半減する」というものが含まれていました。
安全な飲み水を継続して利用することができる人の割合としては、1990年には世界の全体で76%、開発途上国では70%となっていましたが、2015年には全体で91%、開発途上国では89%まで改善しました。
そして、衛生施設を継続的に利用できるようにという目標に関しては、1990年は54%、2015年では68%となっており目標は達成できていません。
*国土交通省・国連児童基金(UNICEF)
それでも7億人は・・・
前述の通り、「安全な飲み水の利用」に関しての目標は、2015年より5年も早い2010年に達成されています。
それでもまだ世界の人口のうち、7億4,800万人の人々が、安全な飲み水を利用することができていないと言われています。
そして、7億4,800万人のうち、90%は都市部から離れた農村で暮らす人々であり、安全な飲み水が利用できないことによって、毎日1,000人以上のこども達が亡くなっているのです。
水道水はあっても安心できない
日本では、飲み水と言えば水道水だと答える方も多いのではないでしょうか。
ミネラルウォーターへの関心が高まったのはつい最近の話であり、それまでは水道水を飲むことが一般的となっていました。
蛇口をひねるだけで安全な水が出てくることに感謝したことはありますか?
世界では、水道水はあっても安全な水ではないという国もたくさんあります。
- 水道のインフラ整備ができない
- 人口が集中しすぎている
- 高度浄水処理にコストがかかる
このような理由から、水道水はあっても安全な飲み水と言えないような国も多いのです。
水道から安全な飲み水が出てくる国は、わずか15カ国程度と言われています。こうして考えてみると、日本がいかに飲み水に恵まれているのかが分かります。
安全な飲み水さえあれば・・・
サハラ以南のアフリカを例に挙げると、半数以上の方が安全な飲み水を利用することができないために、こども達の5人に1人が15歳になるまでになくなっています。
飲み水が汚染されていたり、不衛生な状態になっていることで、単純な下痢性の病気によって亡くなっているのです。
汚染や枯渇に悩まされている他の国においても、安全に水を利用できる設備などがないため、何百万人もの女性が毎日水を汲むために時間を費やしていますが、その水でさえ安全な飲み水ではありません。
安全な飲み水と、整えられた設備さえあれば、こども達が下痢性の疾患で亡くなることも、女性が水汲みに膨大な時間を費やすこともなくなり、勉学や就業、生活の充実などが実現できるようになります。
*国連児童基金(UNICEF)
おわりに
安全な飲み水がある国は、まだまだ少ないというのが現状です。
世界的な規模で今すぐなにかできるわけではありませんが、日常生活の中で自分にできる小さな節約を始めたり、安全な水を届ける取り組みを行っている企業のイベントやキャンペーンに参加することはできるはずです。
「他の国のことは知らない」「日本が大丈夫ならそれでいい」という考え方ではなく、世界の人々に何か少しでも貢献したいという考えで行動していくようにしたいですね。